HOTEL / VILLA
コンクリートでつくる木構造のような空間
SOLIS
2023.01
- 所在地沖縄県宮古島市平良字西仲宗根
- 階数地上1階
- 床面積121.84㎡
CONCEPTコンセプト
この住宅は沖縄県宮古島に計画され、セカンドハウスとして 又は宿泊施設としても利用できる併用住宅である。 計画地は、土地柄期待される眺望もなく不利な敷地のよう に思われた。さらには敷地は道路から 1m 高い敷地となって いた事もありできるだけ地形を利用しつつ、計画地内に宿 泊施設としての付加価値を与える必要があった。 セカンドハウス兼宿泊施設として考えた時” 利用した時に贅 沢感を感じる非日常を感じさせる空間と同時に安心感を与え る” という真逆なテーマを両立させようと思案した。 平面計画としては外部テラス ( プール ) エリアを囲むように L 型に室内空間を配置。既存敷地の高低差を利用し、玄関から リビング空間へのアプローチは階段を採用。この階段室は 部屋への期待感を高め、非日常へ誘う役割を担っている。階 段を上がると、目に飛び込むのはテラスのプールと大きく広 がる LDK の空間。テラスは、建物に囲まれる設計で周囲の視 線を気にしない包まれた安心感もたらしている。
当初計画では南国の VILLA らしく屋根には木造軸組みを現した木造屋根の提案をおこなった。それは木造の 登り梁が室内から庇先端へと伸びるデザインにする事より視覚的に内外の連続性をつよめ、テラスへと足を 踏み出したいと思う空間になるのではと考えたからだ。ただ宮古島という台風の強い立地を考えると木造屋根はクライアントにとって高いハードルのようだった。 実際の計画において、そのデザイン提案は踏襲される事となった。LDK にはテラスに面して約7 m の大開口 を設けたいと考えた結果、開口上部の梁と直行させた小梁を連続させて配置させる事とした。開口庇は約 2.1m の深さがありリビング小梁はその先端まで伸びる。
空間は梁高さも利用して約 3.1m の天井高さとなり更には質量の重いコンクリート小梁が連続することで空間 の堅牢さや、梁が内部、外部を繋げ室内外連続性をより強調させることを狙いとしている。コンクリートでの木造表現という古典的な手法ではあるが空間は非日常と安心感を備えた豊かな建築となった。
PHOTO GALLERY
Facade東側外観
道路側より東側外観をみる。建物唯一の外観面で、室内が見えない配置計画。
Facade nightscape東側外観・夜景
東側外観の夜景。明るくなりすぎず、陰影を大事に照明計画している。
Building structure構造デザイン
駐車場側の高い視点から撮影。入り込む構造が複雑でありながら包まれた空有を生む。
approachアプローチ
アプローチ、玄関付近。南国の植物の蘇鉄を植えている。壁面には宿泊施設のロゴ看板が配置されている。
Facade東側外観
東側外観の一部は敷地の高低差を活かして浮いたようにし、テラスの庇の一部も道路から見えるように続かせたデザインとしている。
approachアプローチ
駐車場庇からまっすぐ玄関へ。アプローチを少し上げて緊張感をだしている。
Entrance玄関
玄関から奥へと上がっていく事で期待感をたかめる。
Entrance玄関
玄関階段を上がった見返し。玄関扉の上はガラスの欄間とし、天井スラブが室内から外へ視覚としてつながる。
LDK
玄関側より上がってのリビング。LDK、テラス(プール)と広角な空有が狭かったアプローチから一気に広がる。
LDK nightscape
上記のカットの夜景。横の広がりにさらに鉛直に間接照明を入れる事でより奥行き感を演出している。
LDK
コンドミニアムとしての利用からセパレート式のキッチンとしている。キッチンからプールが見えるのが気持ちいい。
LDK
LDK、テラス、プールをみる。室内から外へと天井コンクリート小梁が伸びる。
Livingリビング
リビングより開口部ごしに部屋1を見る。奥に優しいトップライトからの光がみえる。
Bedroom1寝室1
上記のカットからみえていた部屋1。3mの高い天井の部屋はやさしい光が注ぐ空間。
Teracce/Poolテラス/プール
テラス側より建物をみる。LDK、水回りに囲まれた配置がよくわかる。庇の構造ストラクチャーがより空間をダイナミックにさせている。
Teracce/Pool nightscapeテラス/プール・夜景
上記カットの夜景。リビングの掃き出し窓と上部欄間から漏れる光がRC構造を浮き上がらせている。
Teracce/Poolテラス/プール
テラスを中心とした建物配置。宿泊者が包まれた空間で安心感とくつろぎを得られる。
Teracce/Poolテラス/プール
テラス側よりLDKをみる。2m以上伸びた庇構造が室内まで続く、印象的なデザイン。
Teracce/Pool nightscapeテラス/プール・夜景
上記夕景。プールの青い光は非日常を演出する。
Teracce/Poolテラス/プール
庇の先端にあけられた開口部によって、印象的な影が壁面に落ちていくようにしている。
Teracce/Pool nightscapeテラス/プール・夜景
テラス夕景。外と中が一体的に利用できる。
Teracce/Poolテラス/プール
RC小梁が連続することでより印象的な庇によって影をつくる。
Hallway廊下
リビングから水回り、各部屋へ通じる廊下。光を抑えめにし陰影を印象付ける。
Bathroomバスルーム
テラスから連続する水回り。洗面上部にはトップライトで太陽光が落ち、ミラーで拡散されより明るさをだし、廊下の暗さと対比させている。
Bathroomバスルーム
テラスから連続する水回り。洗面上部にはトップライトで太陽光が落ち、ミラーで拡散されより明るさをだし、廊下の暗さと対比させている。
Bedroom2寝室2
部屋2には腰壁を低めにし、ベッドに座りながらもプールが眺められるようにしている。
Bedroom3寝室3
部屋3は大きな開口をとるとプライバシーが損なわれる事になる為ハイサイドにすることで隣地の緑を借景としている。
Teracceテラス
部屋2.3側外部テラスより囲まれたテラス・プールをみる。
Teracce nightscapeテラス・夜景
上記カット夜景。来客者が安心して楽しめるプライバシーの高い内外空間。
Helicopter shot空撮
空撮により計画建物上部からみる。テラスを中心として内外一体の建物。
Helicopter shot空撮
計画地が建物に囲まれ、眺望はないが近隣には豊かな海がある。拠点として宮古島を楽しんでほしい。
撮影:笹の倉舎 / 笹倉洋平