SHOP
インダストリアルな空間を纏うカーステーション
ウネプロ
2021.11
- 所在地沖縄県沖縄市
- 階数地上1階
- 床面積123.25㎡
CONCEPTコンセプト
株式会社ウネプロは、沖縄県沖縄市に店舗を構える創業50年の自動車整備・販売店である。
創業当時は、自動車の整備や修理を中心に稼働していたが、時代の変化に合わせ事業展開するにあたり、自動車整備工場を優先に建築されていた旧事務所の道向かいにお客様がゆったり寛ぎながら商談できるラウンジスペースを中心とした新事務所を建設した。
地域に根差し、自動車を通して末永くお客様と繋がる企業を目指して、自社のカラーを出しながらも、これからの時代も長く愛される普遍的なデザインを念頭に計画を進めていった。
打ち合わせを重ねていく中で、自動車整備工場としてのインダストリアル感を出しながらも、無機質な空間になり過ぎないようにする為に、コンクリート、鉄骨、ガラス、木材、煉瓦をシンプルに組み合わせたデザインに辿り着いた。
ファサードは、大小の2つのコンクリートの箱に鉄骨の大屋根を架けたシンプルなデザイン。高さを抑えた小さなコンクリートの箱にかかった鉄骨造の大屋根は、敢えて骨組みを現すことで、ダイナミックなボリュームを出しつつ、壁面を煉瓦仕上げとすることで鉄骨の無骨さを抑えた。
高さのあるコンクリートの箱は、前面にガラス面を大きくとり、ダークグレーのベルアート塗装でシンプルに仕上げた。強い色味を使いながらも素材やボリュームでメリハリをつけ、どこか上品で纏まりのあるアーバンテイストなファサードデザインに仕上げた。
内部空間は、お客様がゆったりと寛げるよう天井高さ4.1Mで広々とシンプルな空間に。スラブ面や壁面のコンクリート打ち放しは、普通型枠仕上とする事で、コンクリートが持つ自然な風合いと陰影を生み出すように。受付カウンターは、シンプルな木カウンターで仕上げているが、帯鋸目加工を施すことで、素材感を出し、使い古したようなアンティークの質感に仕上げた。
トイレや事務スペースの入り口の扉のハンドルは、スパナを使ったオリジナルハンドルを製作し遊び心をプラスした。長きに渡り暮らしに寄り添い続けられてきた店舗とデザインをリンクする事で、時代と共に更なる歴史をつくり、新しい技術や価値観を生み出しながら、長く愛される企業になって欲しいという想いを込めた。
PHOTO GALLERY
Facade正面外観
前面道路より建物正面を見る。駐車場を鉄骨屋根が覆い来客者を招き入れる。
Facade北側外観
屋根を支えるH鋼が特徴的。根巻きコンクリートには杉型枠を採用し表情をつけた。
Faced西側外観
外観はシンプルな箱形。趣味の植栽を楽しめるよう道路沿いに植栽スペースを設けた。
Approachアプローチ
建物入り口へと誘導するスロープ。バックチャンネルで製作した社名が印象的である。
Approachアプローチ
アプローチより駐車場を見渡す。天井を支えるH鋼がダイナミックに連なる。
Waiting space待合いスペース
待合いスペースより商談スペースを見る。壁、天井をコンクリート打放し、床は土間の風合いのあるタイル貼りとし無骨さを演出。
Conference space商談スペース
商談スペースを見る。天井を高くすることでコンクリート打放し仕上げながらも閉鎖感をなくした。
Conference space商談スペース
商談スペースより受付スペースを見る。ブルーの壁が空間にアクセントをつける。
Reception space受付スペース
建物入口から受付スペースを見る。カウンター家具の木目と帯鋸目仕上の荒さが目を引く。
Reception space受付スペース
テーブル真上に吊られた大きなペンダントライトが来客者を楽しませる。
Reception space受付スペース
受付スペースから作業カウンターを見る。多彩な植物が飾れるよう笠木天端には溢れ留めを設けた。
Rest roomトイレ
装飾を省く事でコンクリートと木の色味のバランスが引き立つ。
Front room前室
男子トイレ扉を見る。真鍮のブラケットライトの光が誘導する。
Front room前室
女子トイレ扉を見る。明かりとサインがレトロを演出する。
Detail建具詳細
スパナを事務スペースのドアに溶接しハンドルとして採用。細部に遊び心を加えた。
Detail建具詳細
各トイレのドアハンドルにもスパナを採用。来客者を楽しませる演出に。
Waiting space待合スペース(夜景)
照明の数を最小限にする事で昼間とは違う表情に変わる。
Conference room商談スペース(夜景)
トイレ前室の照明とアクセントのブルーの仕上が空間に奥行きを出す。
Reception space受付スペース(夜景)
ライトアップされるカウンター家具。薄暗い雰囲気の中でも存在感を与える。
Reception space受付スペース(夜景)
コンクリート打放しとインダストリアルな照明器具が雰囲気を醸し出す。
Reception space受付スペース(夜景)
薄暗くも局所的にライトアップし事務所としての機能も抜かりない。
Approach外観(夜景)
浮かび上がるバックチャンネルの文字がノスタルジーに映り、行き交う人々の目に留まる。
撮影:井田 佳明