HOUSE
変形空間に機能を充てた住宅
タナタナノイエ
2015.07
- 所在地沖縄県北中城村
- 階数地上2階
- 床面積122.06 ㎡
CONCEPTコンセプト
計画地は市街化調整区域内に位置しており『自己用住宅の立地緩和区域』に指定されたタイミングでの建築となった。
近隣には住宅や店舗が疎らにある程度ではあるが交通量が多く渋滞も起きるような主要地方道路に面し、地域バスの停留所もあることも考慮する必要があった。敷地は周囲に高低差があり変形形状であることに加え、以前より隣家の実家が駐車場として利用していたことから今後も継続して一部を共有することを望まれた。間取り等他の要望も満たす為には残ったスペースを最大限活用しなければならなかった。
敷地のポテンシャルを生かす為、道路面と隣地境界線それぞれの平行軸により構成される平面計画とし無駄なく最大限床面積を確保した。その半面、軸のなす角度により歪なカタチが生まれる。その変形空間に機能を充てることで価値を見出した。
歪なカタチには物干場、坪庭、そして前面道路からの喧騒やプライバシーを考慮して設けた大壁で囲まれた中庭といった外部空間を設けて室内に光と風を導く役割を担い、視線をコントロールしつつ快適な住環境をもたらす空間とした。そしてリビングには本を読むことが好きなクライアントの要望から、本棚を兼ねた階段の有効幅を確保しながらも利用できるベンチを提案して変形を活用。遊び心を加えながら居住空間を演出する効果を果たす。
2階部分はリビングの天井の一部を吹抜けとし、上部からの採光を得ると共に、2階のワークスペースとの繋がりを考慮し1階よりセットバックさせたボリュームとした。それにより1階に自然光を取り込むトップライトを設けることができ、暗くなりがちな廊下等に採光を確保し、玄関の内外の壁に連続で施したクライアントが希望した県産素材である琉球石灰岩を照らし表情楽しむことができる。
また2階部分のボリュームを抑えたことにより周囲からの圧迫感を軽減させ、平面軸のなす角度による1階と2階部分のボックスの歪みがシンプルなファサードに変化をもたらした。
PHOTO GALLERY
Facade東側外観
建物正面 セットバックした2階のボックスと歪みは敷地形状により生まれたデザイン。
Court中庭
前面道路からの喧騒とプライバシーを考慮した大壁に囲まれた中庭。
Entrance玄関
外壁面の連続性が出るようくり抜いた玄関ポーチ入口。奥には造作した木製の玄関扉が見える。
Entrance玄関
トップライトで照らされた県産素材の琉球石灰岩貼は施主の要望。
LDK
玄関側から見るLDK。中庭と吹抜けから充分な採光を得る。
Stairs階段
変形空間を利用したベンチと蹴込みが本棚になるように寸法を調整した階段
LDK
中庭側よりLDKを見る。階段のベンチと一体となった好きなところで寛げる空間。
Kitchenキッチン
奥に見える扉は階段下のパントリーの入口。そこを通り抜けると洗面スペースへと繋がることが出来る回遊動線。
Bedroom寝室
中庭に面して1階に設けた主寝室。
Rest roomトイレ
水をイメージして施主が選定した青色の塗壁。トップライトで陰影を楽しめる。
Bathroom浴室
床に掘込み設置した浴槽。坪庭を隣接させ一層の空間の広がりを感じさせる。
Washroom space洗面スペース
帰宅時や来客時に使いやすい廊下に設けた洗面スペース。ホテルライクなデザインとし生活感を感じさせない。
Study space学習スペース
吹抜けに面した学習カウンターと蔵書を収納する本棚を造作したスペース。
Entrance玄関
玄関の内外の壁に連続で施したクライアントが希望した県産素材である琉球石灰岩が印象的。
Facade北東側外観 夜景
1階と2階のボックスの歪みが特に感じるアングル。道路の喧騒から外部に面して極力開口部を設けていない。
撮影:石橋マサヒロ