EDUCATION
児童福祉施設 みやくるる
2019.04
- 所在地
- 沖縄県宮古島市
- 床面積
- 948.53㎡
- 業態
- 多機能型児童福祉施設
CONCEPTコンセプト
沖縄の小さな南の島。宮古島に建つ複合型福祉施設。障がいをもつ子供の施設、児童発達支援と一般の子供の保育園を併設させるという全国でも珍しい施設となっている。障がいをもつ子も一般の子も一緒に生活していくことを目標としてお互いの存在を認めつつ、大人も子供も交流していける施設づくりが目標となった。
計画として中庭を中心とした回廊型の平面計画としている。構造的な柱、壁を極端に少なくすることにした。諸室は木製建具で仕切っているが、建具を開けると保育施設、廊下、中庭、訓練室、遊戯室を見通せるようにするためである。利用者はお互いの存在を確認しながら日常生活を送ることができる。
中庭は遊び場であるが、イベント時には中庭は客室となり遊戯室は舞台となる。遊戯室や中庭で遊ぶ子供たちの声は障がいのもつ動けない子供たちにも声が届くような仕組みで、実際重度の障がいをもつ子もみんなの声が聞こえることで、笑顔も増えて活動的になったと報告を受けている。内装については活動的に動き回る廊下や遊戯室の床はメンテナンスのしやすい塩ビタイルの床。長く座ったり触れたりする時間の多い保育室や訓練室の床は天然のコルクタイルなどと使い分けている。保育室と訓練室の天井は特徴的で三角屋根が連なるかたちを取っており、その天井にはフローリングを張っている。山のない宮古島に山のイメージと温かみのある内装を心がけた。連なった三角屋根は建築外観にも特徴を与えている。
こうして出来上がった施設は子供たちだけでなく、親や職員みんなが交流する、垣根の少ない明るい施設となっている。
【みやくるるとは】
・みやく「み」→ 自分 「や」→ 住んでいる 「く」→ 場所 という宮古方言(アヤグ)より
ビザライの皆にとってのホームタウン。ふるさとであり、はじまりの場所として。
(株式会社ビザライは障がい者の方の総合支援を行う会社です)
・くるる
円・縁・繋がりを意味しての擬音、中庭のある建物のコンセプトイメージ。
ここで生活する皆が明るく楽しいイメージ
縁や希望が回り巡って広がってほしい。
「みやく(宮古)」×「くるる(円を建物のイメージ)」を合わせた名前、つまり使う方にとって、私たちの場所なんだ!とか縁や温かい何かを感じさせてくれ 愛される場所。建物であってほしいという願いを込めた。
PHOTO
GALLERY
Helicopter shot空撮1
上空より施設をみると中庭を中心に諸室がつながっている事がわかる。
Helicopter shot空撮2
奥の天井高の高い位置は遊戯室、手前の2階部分は職員室関連となっており、駐車場より直接訪問できる。
Façade東側外観1
福祉施設らしくという表現ではなく、落ち着いて通える場所を考えて外観デザインをした。
Façade東側外観2
2階部分は杉型枠に塗装し、経年劣化を楽しめるようにと考えた。
Logo designロゴデザイン
施設名称をみやくるるとした ロゴデザイン 地域や母体のやさしさを曲線で表現し子供達をつつみこむイメージ。
Façade南側外観2
南側外観。各部屋へ直接お迎えができるよう設計されている。コロナ対策に大いに役立ったようだ。
Entrance 1保育室側玄関
トップライトを用いながら明るい玄関としている。靴箱も建物外観に合わせたデザイン。
Entrance hall(1)保育室側玄関ホール
玄関ホールにはタッチ式の映像が投写され、子供達の遊び場所となっている。
Rest rooms休憩室
休憩室と一時保育室を連結し建具で仕切ることができる空間にしている。
Nursery room保育室
保育園保育室。各年齢の空間は可動収納で仕切られ、空間ボリュームを変えられるようにしている。山形屋根が特徴。
Nursery room保育室
保育園保育室。奥にみえるのはみんなで遊べる遊戯室。
Kids toilet 1キッズトイレ 1
子供用のトイレ 明るく清潔感のある空間としている。
Kids toilet 1キッズトイレ 1
実際つかっている様子。手洗い高さ、ブース高さ、小便器位置など吟味を重ねた。
Logo designロゴデザイン
保育室や年齢で使えるロゴを、自然をイメージし制作。パネルは交換できるようになっている。
Entrance hall(2)児童発達支援側玄関ホール
玄関を上がったホールから、すぐに開けた中庭がみえる。右手が訓練室。
Training room訓練室
障がいをもつ子供たちの訓練室をみる。寝たきりの子供たちも楽しめる天井をと意識した。
Training room訓練室
障がいをもつ子供たちの訓練室をみる。各訓練室も中庭から保育園へとつながる。
Kids toilet 2キッズトイレ 2
児童発達支援側にもトイレトレーニング用にキッズトイレを設けた。
Training room生活介護訓練室
18歳以上の障がいをもつ子供の受け入れを想定しもうけられたエリア。
Training room生活介護訓練室
18歳以上の障がいをもつ子供の受け入れを想定しもうけられたエリア。色味も少し大人に落ち着いた空間としている。
Play room遊戯室
保育室と児童発達支援訓練室をつなぐ位置に設けられた遊戯室。互いの交流の場となっている。
Play room遊戯室
遊戯室の天井は木毛セメント板で断熱と吸音効果を高め、トップライトと中庭への掃き出し窓が外との繋がりをつよめている。
Play room遊戯室
子供たちが楽しく遊んでいる様子。中庭へとかけだしていく。
Court yard中庭
中庭は保育室、訓練室、遊戯室とつながり中心となる、リビングのイメージ。
Court yard中庭
中庭には起伏や土管、ボルタリングなど遊びを提案。
Court yard中庭
障がいをもった子供たちも声や様子で交流できる中庭。
Stairs階段
2階職員室へ上がる室内階段。階段下は子供達の隠れ場所となる小さな図書館。
Staff room職員室
2階職員室を見る。落ち着いた雰囲気を意識した。
Staff room職員室
2階職員室を見る。トップライトやハイサイドで明るい空間となっている。
Court yard-nightscape中庭・夜景
子供達や職員、大人達が施設を楽しく夜も活用してほしいと設計した。
Façadenightscape東側外観・夜景
福祉施設というより美術館的な印象をもってもらえればと思い設計した。
Façadenightscape南側外観・夜景
折れ曲がった屋根がユニークな印象を与え、直接各部屋へお迎えがいけるように考えた。
撮影:石橋マサヒロ /LSDdesign(空撮)